報告 教育シンポジウム-教職員に誇りと勇気を-
掲載日:2011.01.21
1月19日、札幌市内ホテルライフォートで、教育シンポジウム「いま教育で何がおこっているのか。教育に自由な討論をよびかける-教職員に誇りと勇気を-」が開催されました。約300名が参加。
本シンポジウムは、「教職員の服務実態調査」や「通報制度」などによって、教育の自由や教職員の人権が侵害されている事態を憂慮し、北海道の教育がこれまで以上に主体的・創造的な教育活動を展開できるものとなるよう願い、高橋哲哉さんをはじめ道内外の学者などが実行委員会を組織し開催されました。
北海道教育大学札幌校教授の宮田和保さんがコーディネーター、関西学院大学教授の野田正彰さん、東京大学教授の高橋哲哉さん、小樽商大教授の結城洋一郎さんをパネラーにむかえ、教育に自由と理想を取り戻そうという訴えに参加者は耳を傾けました。
野田さんは「学校現場では精神疾患で休職する教職員が増えているが、これは精神疾患のうつ病ではなく、職場で抑圧され意欲を失う抑うつ反応。東京や広島をみると君が代の強制が始まった翌年から増え、この強制がいかに教育を荒廃させているかを物語っている」と指摘。
高橋さんは「本来、学校は自由で民主的なこの国の主権者を育てるところ。それがこの通報制度によって、教職員相互の信頼関係を崩壊に導き、保護者、地域住民、北海道民すべてが教職員の言動を監視する制度になっている。北海道全体がこの密告制度を柱にした監視社会になってしまうのではないか」と話しました。
結城さんは「教育とは自由に考え、判断し行動する人間を育てること」と話し、道教委の調査にもふれ、「ILOユネスコ勧告の中に、『教育は人権および、基本的自由に対する深い尊敬をうえつけることを目的とする』と明確に書いてあるが、道教委のやり方はこの精神に反し、正面から矛盾し、憲法の掲げる様々な権利をないがしろにしている」と批判しました。
最後に「北海道はこの通報制度で教育の関係悪化の最先端にたとうとしている。全道民を巻き込んで議論し、新しい教育の波をここから起こしていこう」と終了しました。