東京電力福島原発事故に対する緊急声明
掲載日:2011.03.15
3月11日午後に発生した東日本巨大地震は、北海道から沖縄までの広範囲にわたる地震による揺れと津波により、未曾有の被害をもたらしました。この地震により、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さんに対しましてお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧復興を切に願っています。
今回の地震にともなう東京電力福島第一原子力発電所事故に対する声明を発表します。
東京電力福島原発事故に対する緊急声明
東日本大震災で被害を受けた東京電力の福島第一原子力発電所1号機において、3月12日に水素爆発が起きた。また、14日には3号機において同様の爆発が起き、作業員ら11名が負傷するとともに、半径20キロ以内の住民ら600名に屋内退避要請が出された。いずれの爆発も、炉心の温度が上がりすぎ燃料棒が溶けて破損する「炉心溶融」が生じ、その結果、水素ガスが発生し爆発を起こしたものとされている。
また、本日15日午前6時過ぎには、2号機において原子炉が入っている格納容器内の圧力を調整する設備付近で爆発音が確認され、敷地周辺では1時間に965.5マイクロシーベルトの放射線値を計測し、作業員が退避する事態となっている。さらに、30キロ圏内の住民に対し屋内退避が出されている。
今回の原発事故は極めて憂慮すべき事態であり、今後、「炉心溶融」がすすみ核燃料の大半が溶け落ちる「メルトダウン」危機が懸念され、水素爆発で格納容器ごと吹き飛び、大量の放射性物質が放出される最悪の事態となりかねない。
すでに避難した住民が被ばくしており、「健康に直接の影響はない」を繰り返すだけでは住民不安は払拭できない。また、使用済み核燃料を貯蔵するプールの状態については明らかにされておらず、十分な情報公開がなされているとは言いがたい。政府は、迅速・正確な情報公開と住民の生命・安全を守ることに全力を注ぎ、最悪の事態を防がなければならない。
また、3号機は昨年10月に、プルトニウムやウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を使用するプルサーマル発電の営業運転をしていた。3号機で起きた爆発は、1号機と同様、建屋内に充満した水素が原因としているが、爆発の規模は1号機の爆発を大きく上回っている。MOX燃料は温度が高くなりやすく、ウラン燃料に比べその危険性が高いことが指摘されていることを考えれば、MOX燃料と爆発規模の関連性は十分検証されなければならない。
泊原発3号機においても、2012年春にプルサーマル発電を開始するとしている。しかし、泊原発沖には「海底活断層」の存在が指摘され、原子力安全・保安院の指摘を受け北電が実施した「追加調査」の結果も明らかにされていない。
「脱原発・クリーンエネルギー市民の会」は、政府に対して、最悪の事態を避けるべく万全の方策を講ずるとともに、住民の生命・安全の確保に全力を挙げるよう要請するものである。
また、北海道・北電に対しては、あらゆる事態を想定した安全対策を早急に再構築し、道民の生命・安全の確保に万全を期すよう要請する。
「市民の会」は引き続き、泊原発3号機のプルサーマル計画の撤回を求めるとともに、政府の原発推進政策の転換を求め運動を展開していく。
2011年 3月15日
脱原発・クリーンエネルギー市民の会
(事務局:北海道平和運動フォーラム)