「北海道・寿都町および神恵内村の高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向けた『文献調査』応募決定に対する声明」発出


掲載日:2020.10.09

 北海道・寿都町および神恵内村の高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向けた「文献調査」応募決定に対する声明


 10月8日、北海道寿都町原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた「文献調査」に応募することを決定し、正式表明した。また神恵内村議会は、請願を採択した。
 「史上最低最悪の決定」が行われた、と言わざるを得ない。
 最も指摘すべきは、応募の是非を判断した過程である。
 いまだに多くの住民の理解を得ないまま短期間で応募を判断したのは、民主主義のルールを逸脱した愚行である。住民が選出した首長・議員には住民の声を謙虚に受け取め、行政に生かすという使命があり、そのルールを順守する責務があると言えるが、1.住民に乏しい判断材料しか提示せず、2.十分な議論時間も与えないまま、拙速な決定を行ったという2重の過ちが存在していることを、片岡町長と高橋村長は認識すべきである。
 また、片岡町長、高橋村長は、住民投票を望む声に対して「大半が賛成で必要ない」「住民説明会で理解されている」などとして、その必要はないという立場をとっているが、いまだに多くの住民は、財政の見直しについて、文献調査に係る交付金の使途について、地域の未来像についてなど、議論すべきことは多々あるとしている。
 しかし、それをせずに応募を決定したことは、横暴であり、断固として許すことはできない。
 この決定や決定の過程には、「住民」という言葉は、もはや存在していない。トップダウン方式や、一部の者の議論での正式表明は、この後、住民の対立や、寿都町や神恵内村が周辺町村から孤立するという住民の不幸を招くもので、結果、住民に禍根を残すだけの決定となった。
 つづいて指摘すべきは、文献調査は、核のゴミの最終処分場誘致に直結するということだ。 文献調査では「文献・データをもとにした机上調査」を行うとしているが、この調査は現地でなくても、簡単にできるものだ。処分事業をおこなう原子力発電環境整備機構(NUMO)のパンフレットには「文献調査の実施地域に拠点を設置し」、「地層処分事業に関する広報、文献調査の進捗説明、地域の発展ビジョンの具体化など」を行うとある。つまり次の概要調査に向けた地元への働きかけが文献調査の正体だ。
 よって、文献調査では地元では限られた行動にとどまり、人口増や産業振興にもつながらないと思われる。
 最終処分場は、調査を行わない市町村には、100%来ない。これは、調査を行うところに100%来ることになる、との意味であり、現段階では、寿都町と神恵内村に最終処分場が来る確率が極めて高いといえる。
 北海道平和運動フォーラムは、福島第一原発事故の教訓に立って、まず「脱原発」を決定し、新たな使用済み核燃料を出さないことを基本に、使用済み核燃料・高レベル放射性廃棄物の処分については、国民的議論とすることを求めていく。
 同時に、交付金によって誘致を促すような従来の方法を改め、脱原発社会における地方経済の問題も重要な課題として、国民的議論とすることを求めていく。
 そのような基本姿勢に立って、文献調査の応募に反対するすべての北海道民をはじめ、すべての市民団体や労働組合などとも連携し、文献調査「白紙撤回」のとりくみに全力を挙げることを表明し、声明とする。

2020年10月8日      
北海道平和運動フォーラム