幌延深地層研究センターの「研究期間延長」に対する抗議声明


掲載日:2019.08.05

 日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターは8月2日、地層処分の研究期間を2028年までに延長する新たな研究計画案を道および幌延町に提出しました。これに対し、北海道平和運動フォーラムは「抗議声明」を発出しましたのでお知らせします。

 

幌延深地層研究センターの「研究期間延長」に対する抗議声明


 日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターは2日、高レベル放射性廃棄物(「核のごみ」)の地層処分における研究機関を2028年度末までに延長する新たな研究計画案を道および幌延町に提出した。1998年の「深地層研究所(仮称)計画」では「全体の研究期間は20年程度」と明記されており、01年からはじまった研究は21年ころには終了しなければならない。また、歴代の幌延深地層研究センター所長は「程度といえば2~3年のこと」と明言していた。これらを反故にする「研究延長」は断じて容認できず、強く抗議し撤回を求める。
 1984年、旧動力炉・核燃料開発事業団は、「核のごみ」の貯蔵と処分研究を一体的にすすめる「貯蔵工学センター計画」を公表し、翌85年11月23日に抜き打ちの「現地踏査」を強行した。これに道民が反発し全道各地で抗議行動が起こり、「白紙撤回」に至った。その後、「放射性廃棄物は受け入れ難い」とする道の「核抜き条例」や、「放射性廃棄物は持ち込まない」「研究終了後は閉鎖し埋め戻す」「最終処分場としない」などとする「三者協定」が締結され、「幌延深地層研究」が始まった。日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターが「条例や協定を守るからやらせてほしい」と道民にお願いし、研究期間を含め約束したものであり、こうした経過を肝に銘ずるべきである。
 17年に公表された最終処分の適地を示す「科学的特性マップ」において、道内では幌延町を含む86市町村が「最適地」とされている。今回の「計画案」では、地層処分の技術基盤の整備の完了が確認できなければ、埋め戻しの工程は示さないとしており、研究期間の再延長とともに「三者協定」は空洞化され、なし崩し的に幌延が最終処分地にされる危険性がある。 
 地震が多発する日本列島に安定した地層はなく、10万年間も監視が必要な、核廃棄物の存在をのちの世代に知らせることができない「地層処分」は即刻見直すべきである。まずは、「核燃料サイクル」政策を断念し、これ以上「核のごみ」を増やしてはならない。その上で、現在ある「核のゴミ」については、常に人間の監視が行き届く体制のもと長期的に管理し、その間に最終的な処分のあり方についての研究をすすめていくしか他はない。
 北海道平和運動フォーラムは、「核のゴミ」の地層処分に反対し、「研究延長」の撤回を求めるとともに、幌延をはじめ道内すべての自治体において「最終処分場」を受け入れない運動を引き続き展開していく。

2019年8月3日     
北海道平和運動フォーラム