10.7「STOP再稼働!さようなら原発北海道講演会」を開催しました


掲載日:2016.10.07

「さようなら原発1000万人アクション北海道」は、10月7日に北海道自治労会館で「STOP再稼働!さようなら原発北海道講演会」を開催した。

講演会には、400人が参加し、原発の危険性・不必要な理由を確認した

講演会には、400人が参加し、原発の危険性・不必要な理由を確認した

講演会の翌日の8日開催する「STOP再稼動!さようなら原発北海道集会」の前段の位置づけで、「泊再稼働を許さない運動の出発点として企画」し、400人が参加した。

主催者を代表し、「全国の市民運動に学びながら、泊原発の再稼働を許さないたたかいを全国に発信していきたい」と挨拶する長田・代表

主催者を代表し、「全国の市民運動に学びながら、泊原発の再稼働を許さないたたかいを全国に発信していきたい」と挨拶する長田・代表

主催者を代表し、北海道平和運動フォーラムの長田秀樹・代表は、「北海道の2016年から2025年まで10年間。道内の電力需要の調査結果を発表した。結論は、泊無しでも電力は足りると証明した。北海道はこれから電力消費が増える。1~2月は最大電力を使うが、供給予備率が安定供給およそ8%としているが、その2~3倍は確保できるとされている。石狩湾新港にはLNG液化天然ガスの火力発電が2019年から順次稼働し、3基稼働したら170万kwなので泊3基に匹敵する電力が確保できる。ですから再稼働しなくても北海道は電力が十分に足りることが示されている。しかし北電は、風力発電の新規参入に対し、数億円かかる蓄電池の設置を要求している。経産省では参入妨害ではないかと調査が始まっているようだ。今まさに再稼働への正念場を迎える。仮処分決定など、全国の市民運動に学びながら、私たちは北海道から泊原発の再稼働を許さないたたかいを全国に発信していきたい」と挨拶した。

「事故が起こってから、放射線の陰の世界を勉強し直した。裏の世界は嘘だらけ」と警鐘を鳴らす西尾・北海道がんセンター名誉教授

「事故が起こってから、放射線の陰の世界を勉強し直した。裏の世界は嘘だらけ」と警鐘を鳴らす西尾・北海道がんセンター名誉教授

講演の最初に、北海道がんセンター名誉教授の西尾正道さんから「長寿命放射性元素 体内取込み症候群について」と題し、講演があった。「事故が起こってから、放射線の陰の世界を勉強し直した。どうやってガンを放射線で綺麗に治すかという世界で生きてきたが、裏の世界は嘘だらけ。科学技術で金儲けしている連中は、嘘をつくというか、物語です、放射線防護学に関しては。原子力政策を進めるための嘘だらけの理論構築をして教科書に書き、ほとんどの人を騙しているという現実。ICRP、国際放射線防護委員会が全て牛耳って人体影響について対策を議論しているが、根本的なところから考え直して頂きたく、お話をしたい」と切り出した。

「放射線の単位。ベクレルや㏜などがあるが、放射線の量というのは物理量。これはごまかしが効かないので信用できるが、放射線量を電気信号に変えて、熱エネルギーの単位、㏉(グレイ)という単位に変える。1kのものに1ジュールの熱を与えた時、1㏉という定義にする。これは物理量ではなく定義量。定義だから勝手に作っているもの。それと、等価線量や実効線量というのは嘘だらけの数値であるということ。実は何の根拠もない。実効線量は全身に影響がどれだけあるんだと考える時に単位として使われている。今の事故対策も全て実効線量で議論している。まったく実証性のないでっちあげた係数でしかない。架空の係数を使い補正して実効線量を練り出しているだけで、全身影響を表す単位になっていないという根本的な問題がある」と警鐘を鳴らした。

また「放射線の人体影響の因子は線量(㏜)だけではない。こんなナンセンスな事はない。こんなインチキな単位は無いということ。エネルギーの問題も、LETの要因も、細胞周期によって放射線感受性が変わる問題も、皆議論しなければならない。何よりも微粒子の存在によってガラッと考え方が変わるということ。こういうことを想定していないICRPの放射線防護体系がとんでもないインチキだということ。なおかつ線量計算を全身化換算するような過小評価。皆さん、目薬は口から飲みますか?ICRPのやっていることは、目薬を口から2、3滴飲ませて、投与量2、3滴だから大丈夫ですよと言っているようなもの。違うでしょう?我々は賢いから目薬は目に注しますよね。だから効果も副作用も目に出る。目の細胞にどれだけ当たっているかを計算しなければならない。そしてトリチウムを取り込むことで健康被害が出る。政治的とか金儲けが絡んだり、見解の相違はあるでしょうが、健康に悪いんだよということに関しては誰だって考えることは同じだと思う。医学的な議論で知識を持ち、今の日本の放射線汚染不感症をとにかくみんなで治しましょう。泊が停止してから5年。5年経っても何も困らない。戦争だって国破れて山河ありです。原発事故は山河なしになってしまう。確実に札幌に住むことは難しくなる。これだけの財産を築き上げた我々は、北電のために財産を捨てる必要は全くない。こんな国策。まともな政治家を選ばないと。本当に酷い世界になってきた」と結んだ。

「原発が始まった時には住民は参加せず労組中心で集会が行われていたのが、今はいたるところで原発反対集会が開催されている」と運動の広がりを話すルポライターの鎌田慧さん

「原発が始まった時には住民は参加せず労組中心で集会が行われていたのが、今はいたるところで原発反対集会が開催されている」と運動の広がりを話すルポライターの鎌田慧さん

続いては、「破綻だらけの原発政策」と題して、ルポライターの鎌田慧さんから講演があった。「西尾先生のお話を聞き、政治が変わらないと、原発も変わらないというのが明確に見えてきたと思う。運動によって政治を変え、政治によって原発を無くすという道筋の運動。原発は破綻だらけだとういうことが世間的に広く深く分かってきたと感じる。集会を開催して人数が莫大に増えるわけではないが、原発が始まった時には原発立地点で住民は参加せず労組中心で集会が行われていたのが、今はいたるところで原発反対集会が開催されている。反原発、脱原発の声が広く浸透してきていると感じる。今まで賛成だった人も、反対に転じてきている。反対派が賛成派になったことはないはず。戦争で言うと反戦までいかないけど厭戦というような気運が日本列島に広まっている。福島の事故前、反対派は少数だったが今は違う。もんじゅだってはっきり止めるとまだ言っていないが、止めねばならないだろう。もんじゅは1兆2000億円と言われている。原子力船むつという船があったが2000億円位で作られた。あちこちに金をばら撒き、はっきりとした金額は出ていないが、おおよそ4000億円くらい使われたのではないか。その、むつは一度航海しただけ。漁民が漁船で大湊の港を封鎖して、それを実力突破し津軽海峡を出て太平洋上で原子炉のエンジンをかけたら放射線漏れでダメになったと。もんじゅと全く同じ。六ヶ所の再処理工場も全く同じ。まだ試運転も出来ていない。そこに決着をつけるのは私たちの運動」と切り出した。

また「私が原発に反対するのは、もちろん危険だから反対しているが、同じように原発のやり方が汚いから反対している。人心を破壊する。もちろん健康も。とにかく嘘、脅し、金。日本国中の原発立地県は皆一致している。脅しは原発が無くなると停電になる。嘘は絶対安全。金はとにかくつぎ込んでいる。関電の送電線がある筋の家を通っていて、その家の主人が池の鯉の成長が悪いのは送電線のせいだと文句を言いに行ったら1億円払ったそうだ。そういう金が幾らでも出てくる。何故か。プラスになった金は全て経費で落とせるから。総括原価方式。全部市民の電気料金に上乗せ。国際的にみたら日本の電気料金は高い。今度は福島の除染、廃炉、補償費用を電力料金に上乗せしようという話を内閣でしている。原発が嫌だから自然エネルギーの電力に変更していっているのに、そこにまで原発の損害費用を乗せるという。私たちからすると異常に見えるが、原発行政をしてきた者にすると当たり前の感覚。かかった費用は電力料金に上乗せするという。考え方が真逆。そして利用している市民はその現実を無関心さから知ってこなかった」と力説した。

結びに「東京では豊洲の問題があるが、環境と食という問題。4m盛り土するところしていなかったのはゼネコンがやっていて成約率が99.何%か。談合です。ああいう大きいものはみんなそう。これが日本の政治の腐敗で、権力が長ければ絶対的に腐敗すると言われている。食の安全という意味で、福島の事故では海や畑、人間が生きていく最も中心の物を破たんさせることが分かった。人間が人間の生きる場所を潰したと。その罪を誰が負うのかということ。そこまでのプロセスが嘘と脅しと金。しかも金は国民の金。この構造を私たちは批判しきれなかった。明日にも起こるかもしれない原発事故。それに反対するため声をあげ続けるが、もうひとつ、新たな運動の仕方を皆さんで考えて欲しい。社会を変えていかないと生きていけないところまで追いつめられてきている。デモや運動に若い世代が参加しないことは、私たちが今まで何を残してきたかが問われていること。それをよく考える時期にきている」と、問題提起をされ、今後の運動への期待を述べた。

西尾さんの講演を聞いた参加者からは、「難しい中身だったけれど、放射線の単位や情報が、都合良く塗り替えられているのが分かり参考になった」との声があった。

また、鎌田さんの講演を聞いた参加者からは、「繰り返し述べていた『嘘と脅しと金』という言葉が印象的だった。また、デモや集会に若い世代を誘い、運動を広げることが大切と再確認した」との声があった。