パレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停止を求める平和フォーラム声明


掲載日:2023.10.24

パレスチナ・ガザ地区をめぐる情勢を踏まえ、平和フォーラムが声明を発出しましたのでお知らせいたします。

 

パレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停止を求める

 

 10月7日、イスラム組織ハマスは突然、数千発のロケット弾をイスラエルに向かって発射し、イスラエル国内に戦闘員を送った。イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザへの空爆を開始した。10月17日には、ガザ地区北部の避難場所とされていた病院が空爆を受けて500人以上が死亡したと報道されている。イスラエルとパレスチナ双方の死者は、22日には6000人を超えた。戦闘が始まってガザ地区は、水道や電気が止められ市民生活は窮地に陥っている。人道支援物資の搬入が21日から始まっているが、空爆は続き窮状は変わらない。イスラエル軍は攻撃強化の方針を発表し、地上侵攻を含む大規模な軍事行動の準備は整ったとしている。

 ハマスの行為は許されないが、「天井なき監獄」と呼ばれるガザ地区に、将来への夢を抱くことも出来ずに暮らすパレスチナ人の絶望は計り知れない。一方で、差別と偏見の中で世界を放浪し、ナチスによるホロコーストをも経験したユダヤ人の歴史も、また悲劇であった。双方は、壊滅的な戦闘に突入してはならない。報復を繰り返すことなく、直ちに戦闘を停止し、恒常的な平和への対話を始めることを強く要請する。

 国連安全保障理事会は、2日間延期されたブラジルの人道のための一時的な戦闘停止を求める決議案を、15カ国のうちロシアとイギリスが棄権したものの、日本を含む12カ国が賛成した。しかし、イスラエルの自衛権に言及がないとしてアメリカが拒否権を発動し否決された。その一方ウクライナに係わる決議ではロシアが拒否権を発動し和平への道を閉ざしている。パレスチナ問題が、歴史上どのようにして作り上げられてきたか、そして繰り返される武力衝突に国際社会はどのように対応してきたのか、戦闘で失われる命を軽く見てはならない。

 国連中東和平担当のウェネスランド特使は、イスラエル軍とハマスの戦闘拡大のリスクは「非常に現実的で、極めて危険」と警告し、現状が「深く危険な深淵の瀬戸際」と表現している。上川陽子外相は「外交努力を通じ、事態の沈静化やガザの人道状況の改善に向けて積極的に取り組んでいく」と述べ、日本政府として様々な働きかけを続けているとしている。イスラエル・パレスチナどちらかの立場を重視することなく、人道の危機として対処していくことを希望する。

 ウクライナ戦争が続く中で、パレスチナにおいて新たな戦争が引き起こされた。国際社会は、それぞれの政治的思惑を排除し、「命の尊厳」という視点から国際秩序の再構築にとりくまなくてはならない。対立の火種を対話から消していく努力を、利害の視点を排除して続けなくてはならない。平和フォーラムは、イスラエル軍が地上戦に踏み込むことなく、空爆の停止とパレスチナ社会との和平交渉のテーブルに着くこと、一方でハマスが戦闘を停止し一刻も早く人質を解放するよう要請する。そして、日本政府をはじめ国際社会がそのことを可能にする状況を作り上げるよう要請する。

2023年10月24日
フォーラム平和・人権・環境
代表 藤本泰成