寿都町の文献調査への応募検討に対する北海道平和運動フォーラム声明


掲載日:2020.08.15

 8月12日、北海道の寿都町が、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定に向けて、第1段階にあたる「文献調査」への応募を検討していることが、新聞報道で明らかとなった。
 特定放射性廃棄物の最終処分をめぐっては、2000年6月に公布された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」によって、地下300メートル以上の地層に埋設することや、処分地の選定プロセスなどが定められ、その後、様々な経過を経て、2017年7月に「科学的特性マップ」が公表された。
 北海道は、2000年10月に北海道における特定放射性廃棄物に関する条例、いわゆる「核抜き条例」を制定し、特定放射性廃棄物の持ち込みについて「受け入れがたい」と宣言した。鈴木知事も「この条例は、道議会でのご議論を踏まえ、将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないとの考えに立つものであり、私としては、条例を遵守しなければならないと考えます」とのコメントを発出し、14日には、土屋副知事が、核抜き条例について「町も守ってほしい」と対応を求めている。
 懸念されるのは、北海道ブランドへの影響だ。2011年の東京電力福島第1原発事故で、北海道も、いわれなき風評被害によって多くの産業が被害を受けた。現に、14日には小樽地区漁協組合長会が「全道漁業に与える悪影響は計り知れない」と断固反対していく姿勢を鮮明にした。漁業だけではなく、農業や酪農業をはじめ、多くの産業が、東京電力福島第1原発事故の時に経験した悪影響を受けるのは必至だ。
 さらに、幌延で経験しているように、国策は一度動き出すと止まらないということだ。幌延の「深地層研究計画」は当初、1998年に「全体の研究期間は20年程度」と明記されていて、2021年ころには終了し、その後埋め戻すとされていたが、今般、研究期間を2028年度末まで延長する新たな研究計画案が提出された。このような事例が、国策は一度動き出すと止まらないという具体的な前例である。
 北海道平和運動フォーラムは、文献調査への応募検討に反対するすべての北海道民をはじめとして、すべての市民団体や労働組合などとも連携し、「北海道に核のゴミを持ち込ませない」ためのとりくみに全力を挙げることを表明し、声明とする。

以上

2020年8月15日     
北海道平和運動フォーラム