「コロナ禍でも『声』をだして」~2020.7.19総がかり行動にかえて


掲載日:2020.07.19

「(コロナ禍を)懸念し、悶々としているだけでは、声を封じたいと思っている者たちの思うつぼ」と警鐘を鳴らす清末愛砂・室蘭工業大学大学院准教授

  皆さま、こんにちは。室蘭工業大学の清末愛砂です。新型コロナウイルスの感染拡大を止める手段のひとつとして、三密にならないようにする必要があることから、札幌での総がかり行動を含む屋内外での集会やデモをことごとく中止せざるを得ない状況が続いています。
 こうした状況が続けば続くほど、軍事力強化や増税のための政策が導入されたり、わたくしたちの基本的人権を侵害しうる憲法改悪の動きがなされたりしても、市民が外に出て異を唱えることが困難になりますので、平和運動が衰退してしまうのではないかと懸念する方々もたくさんおられると思います。わたし自身もそういう懸念を抱きながら、日々を過ごしています。
  しかし、一方でわたくしは思うのです。懸念し、悶々としているだけでは、結果的に市民の声を封じたいと思っている者たちの思うつぼにはまってしまうだけだと。そうならないためにも、けっしてあきらめずに知恵を出し合って、声を出し続けるさまざまな手段を考えなければなりません。 集会やデモ以外にもわたくしたちができることはたくさんあります。例えば、すでに各所で行われているインターネットを利用したオンライン集会や、twitterデモ(インターネット上のコミュニケーションサービスを用いて主張を拡散・共有する方法)、あるいは同じくインターネット上でビデオメッセージを配信するオンラインスピーチ等です。このメッセージのネット上での公開もそのひとつでしょう。
 もちろん、インターネットは使い慣れないので難しいと思われる方も多いと思います。そうした方々が情報にアクセスしにくくなる状況を避けるために、発信方法をインターネットだけに頼るのではなく、例えば、携帯電話のメッセージ、ファックス、録画のCD化等の方法も組み合わせるようにしなければならないでしょう。
ところで、各様の新型コロナ感染拡大防止策が導入されるなかで(防止策が必要であることはいうまでもありませんが・・・)、格差・貧困が深刻化している日本社会の矛盾が一気に噴出しました。コロナ禍以前からジェンダー差別、民族差別、新自由主義経済の下での雇用形態の<流動化>による不安定労働の増大等々により社会的に弱い立場に置かれてきた人々が、外出自粛、休業・休校要請等により、失業や養育・介護の過重負担に苦しんでいます。
 わたくしたちはこうした矛盾を看過せずに、社会保障の拡充、損失補償を求める声を政府に対して突きつけていかなければなりません。これは日本国憲法が保障するわたくしたち一人ひとりの権利です。いかなるときであろうとわたくしたちの権利をないがしろにする政治を認めてはならないと思います。個人の尊厳が脅かされるような事態を甘受する必要はありません。上述したように、声をあげる手段はあります。ともに知恵を出し合って、声を出していきませんか。