関西電力美浜原発3号機事故に対する抗議声明


掲載日:2004.08.11

8月9日に発生した関西電力美浜原子力発電所3号機の2次冷却水配管破断による蒸気噴出事故は、作業員4名が死亡し、2人が重体、5人が重軽傷を負うという、日本の原子力史上最大級のものとなった。

この事故は原発の運転中に発生したものであったが、関西電力は「2次系の事故であり、放射能漏れはなかった」とし、原子力安全・保安院も事故のレベルを国際基準の0+と下から2番目のランクに置いている。しかし、この事故は昨年の泊原発2号機1次冷却水漏れと同様に、一歩間違えれば、1次冷却水と原子炉本体にも影響を与え、メルトダウン(炉心溶融)すら引き起こす可能性をはらむ重大事故であった。
8月9日に発生した関西電力美浜原子力発電所3号機の2次冷却水配管破断による蒸気噴出事故は、作業員4名が死亡し、2人が重体、5人が重軽傷を負うという、日本の原子力史上最大級のものとなった。
この事故は原発の運転中に発生したものであったが、関西電力は「2次系の事故であり、放射能漏れはなかった」とし、原子力安全・保安院も事故のレベルを国際基準の0+と下から2番目のランクに置いている。しかし、この事故は昨年の泊原発2号機1次冷却水漏れと同様に、一歩間違えれば、1次冷却水と原子炉本体にも影響を与え、メルトダウン(炉心溶融)すら引き起こす可能性をはらむ重大事故であった。
いま、時間を経るにつれて事実関係が明らかにされつつある。特殊な配管の構造が冷却水の流れによって腐食し薄くすり減る「減肉化」による「延性破壊」であったこと。しかも昨年、下請け会社の指摘があったにもかかわらず放置され続け、運転開始から28年間にもわたって一度も点検・検査がなされていなかったこと。関西電力幹部自ら認めるように「(点検やメンテナンスなど)安全管理の徹底さえあれば防止できた」こと。また、この事故の発生には原発の老朽化とともに設計ミスの可能性もあることが専門家によって指摘されている。
この重大事故を起こした関西電力は、最近の火発をめぐる3600を越す不正記載の発覚や、かつてはMOX燃料のデータ改ざんなどに関わってきた。また、国も1昨年明らかになった「東電事故隠し」を逆手に取り、電力会社の要求に応えて傷つき原発をなお稼働させる「維持基準」を導入し、今後も定期点検の短縮による原発の稼働率アップを認めようとしている。こうした経済性のみを重視する原子力推進政策は今後も様々な事故、トラブルを発生させることは必至である。
われわれは、関西電力及び国に対して、今回の事故について徹底的な原因究明と再発防止策の確立を強く求める。
また、同じ加圧水型の原発を持つ北海道電力は、「当該部位については1、2号機とも減肉の発生しにくい配管に取り替え済み」としているが、加圧水型原子炉は美浜原発と同様、配管に弱点があることは明かであり、率先して予防措置を含めた“事故防止策”を講じて道民に明らかにするべきである。
すでに原発の安全性は崩壊し、脱原発は間違いなく世界の流れとなった。しかし日本では、原子力・プルトニウム利用政策が強引に推し進められてきた。その政策も「事故隠し」や「資料隠し」でも明らかになったように、実態は破綻寸前となっている。このような原子力路線に対する疑問、批判は政府・与党内部にも拡大しつつある。今こそ、原発に頼ることのないエネルギー政策の確立が求められている。
北海道平和運動フォーラムは、今回の事故に強く講義するとともに、「脱原発」の21世紀をつくるため、あくまで泊3号機の建設計画の撤退を求め運動を進める。
また、「風力発電」など自然エネルギーの積極的普及を始め、代替えエネルギーの確立に向け全力をあげる。そのことによって危険な原発社会からの脱却を確実に実行して行くことを改めて明らかにするものである。

2004年8月11日

北海道平和運動フォーラム
代表 杉山さかえ、江本秀春、小林雪夫