戦後78年!改めて不戦を誓うー8.15北海道集会ー


掲載日:2023.08.16

 8月15日、北海道平和運動フォーラムと市民団体で構成する8.15北海道集会実行委員会は、「不戦の日!8.15北海道集会」を自治労会館で開催し、約300人が参加しました。
 講師には許すな!憲法改悪市民連絡会事務局長の菱山南帆子さんをお招きし、「新しい戦前にはさせない!~若者とシニア世代のつながりを求めて~」と題した講演を受けました。

 菱山さんは「若い人たちが主役の社会になっていない。権利で守られた経験がない。ただおとなしく波風立てずに生きてきて、強い者にすがりたくなっている。私たちも携帯ショップで何々プランやギガ放題と言われてもわからないから店員のオススメに任せてしまう。若い人もよくわからないから“これがいいですよ”って言ってくれるようなインフルエンサーがいい」「私たちは耳の痛い話をする人たちであり、“あんたたちの未来なんだから立ち上がれ”とか、耳の痛い話しかしない。若い人たちだって大変な世の中になりそうなのはわかっている。わかっているけど立ち上がる気力がないから昨日と同じ暮らしをしてしまう。人間は楽な方向に流れがちで、楽な選択をたくさん与えているのはこの世の中だ」と若い人たちの傾向やこの社会の問題を述べるとともに、年輩者たちには「私たちはいろんな経験をしているから若い人たちが来るとうれしくなって上から目線で言ってしまう。そこはこらえて“共感”と“傾聴”を心がけなければならない。若い人たちは“空気を読め”と言われて育ってきたので、モヤモヤとか怒りとか違和感を言葉にして出すという訓練をさせてもらえなかった。傾聴することで大変さが出てくるのでしっかりと聞いてあげてほしい。若い人たちは他人と違う意見を言って喧嘩をするのが怖い。だからネットで悪口を書く傾向にある。意見が違っても大丈夫だし、本当の多様性を私たち自身が実践していかないと若い人たちは来ないと思う」と若い人との関わり方についても触れました。

 また、政治では野党第一党が変われば憲法が危ういとしたうえで「保守政党と似たようなことを言っても選ばれない。保守政党にできないことを私たちがしていかなければならない。それは“ジェンダー平等が実現される社会”と“命と暮らしが守られる社会”だと思う」と述べ、私たちの運動のなかにある差別も指摘しつつ「自分のなかにある差別にきちんと向き合うってことが私たちにはできると思っている。保守政党は差別を助長させてきた。しかし、私たちは差別と闘ってきたわけであり、皆さんが胸に手を当てながら一生懸命勉強し、女性の声をしっかり聞いて学んでいく、ということを実践していければジェンダー平等実現に私たちは努力していると胸を張れる」「生活保護や子どもたちにお金を使わないで軍事費に使っている、憲法を変えようとしている。憲法なんて使ったことがない、憲法なんか知らなかったと言っている人たちが、おにぎりも食べられない子どもたちをつくっている。本当に許せない。憲法を活かす、新たな戦前にさせない、飢えさせない、差別をしない、誰もが平等に生きる、こういったことを言っているのは私たちだけであり、命と暮らしが本当に守られる社会をつくれるのは私たちだけ。どんな国に生まれようとも、どんな時代に生まれようとも、どんな親から生まれようとも、みんなが平等に生きていける、そのために憲法がある。本当にすばらしい憲法なのに、これを変えようなんていうのは本当に愚かとしか言いようがない」と訴えました。

 集会では「戦後78年、改めて不戦を誓い、新しい戦前にさせない集会アピール」を採択し、不戦の誓いを固め合いました。

 


 

戦後78年、改めて不戦を誓い、新しい戦前にさせない集会アピール

 アジアの人々をはじめ日本人に強いられた多くの犠牲と、戦争責任を後世に残した太平洋戦争から78年を迎えました。私たちは、もう二度と『戦争』という悲劇の被害者にも、加害者にもならないことを誓い、日本、そして、世界の平和を願ってきました。しかし、昨年2月、ロシアは武力行使を禁じる国連憲章に違反し、ウクライナへの軍事侵攻に踏み切りました。日々激しさを増す両国の攻防は、今もなお多くの市民の命を犠牲にしながら繰り広げられています。一刻も早い終結には日本政府の積極的な関与が必要不可欠ですが、岸田首相はウクライナに対無人航空機検知システムや自衛隊車両を提供するなど、仲介に入るどころか戦争を助長させようとしています。

 また、岸田政権は、ロシアによるウクライナ侵攻を利用するかのように敵基地攻撃能力の保有や軍事費倍増等を含む「安保3文書」を閣議決定しました。敵基地攻撃能力の保有は、これまでの政策判断や憲法解釈を捻じ曲げるものであり、日本が加害者になる可能性を秘めると同時に、周辺国との緊張を高め、軍事衝突の火種になりかねません。さらに、軍事費倍増は、貧困や格差を顧みず、国民のくらしを破壊しながら進められていく「軍拡競争への道」であり、「新しい戦前への道」です。

 いま、政府は、ゆがんだ憲法解釈と政権の独断によって、実質的に戦争ができる体制を整備し、現実を追認するものとして、改憲へと突き進もうとしています。自民党政権はこれまでも十分な論議もせず、さまざまな法案を強行的に採決してきました。先の国会では、「防衛力強化財源確保特措法」「GX推進法」「GX脱炭素電源法」「改正マイナンバー法」「入管法」「LGBT理解増進法」など、市民生活や人権保障に係る重要法案が十分な審議が尽くされないまま成立しました。このような民主主義をないがしろにする政治手法は、「国民主権」の原理とは相容れないものであり、権力の暴走を許してはなりません。

 私たちは混沌とする世界情勢のなか、戦後78年を機に改めて不戦を誓い合い、世代や立場を超えた広範な市民が結束し、政治を労働者・生活者の手に取り戻しましょう。そして、「戦争法」をはじめとする数々の悪法の廃止、安保3文書の実行阻止、憲法改悪阻止など、新しい戦前にさせないたたかいに総力をあげることを確認し、本集会のアピールとします。

 2023年 8月15日

不戦の日!8.15北海道集会