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8.15「不戦の日! 8.15北海道集会」を開催しました

掲載日:2017.08.15

北海道平和運動フォーラムと8.15北海道集会実行委員会は、8月15日に清末愛砂さん(室蘭工業大学大学院准教授)を招き、「明文改憲構想を読み解く-優先4項目プラスのゆくえ-」と題し、講演を行った。講演後は、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)が登壇し、二人の対談が行われた。300人が参加した。

8月15日のお盆にも関わらず、300人が参加した

8月15日のお盆にも関わらず、300人が参加した



主催団体を代表して、北海道平和運動フォーラムの江本秀春・代表より「72年前の今日。太平洋戦争敗戦という結果で終わった。それまでの天皇制国家、富国強兵の日本国主義国家の在り様が否定された。平和憲法が制定され、国民が主人公の民主国家へと生まれ変わったが、ところが今、安倍政権は、戦後レジームからの脱却の名の下に、平和憲法を変えようとしている。脱却するとしている戦後レジームとは一体何か。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法体制からの脱却を意味したとしているならば、それは戦前への国家体制への回帰だ。そう考えれば自民党の改正草案の内容は極めてわかりやすく、理解出来る。安倍首相が改憲を急ぐ理由はここにある。今日の講演をお聞きしながら、安倍政権の改憲は何を狙っているのか。また、改憲の結果、私たちの日常生活がどのように変わるのかを考え、危険性について確認し合いたい」と挨拶があった。

主催者を代表して挨拶する江本・北海道平和運動フォーラム代表

主催者を代表して挨拶する江本・北海道平和運動フォーラム代表



挨拶の後、清末・准教授の講演が開始しされた。清末さんは冒頭、「私が8.15集会で講演させて頂いたのが2014年。それから3年が経過し、もの凄い勢いで情勢が悪化しているという認識。特定秘密保護法、有事法制の問題もそうだが、戦争できる国に向かってひたすら突き進んでいく日本を見ながら、2014年段階ではまだ、私も心に余裕があったように今は思う」と語った。

最初に、[安倍晋三首相の明文改憲構想]をテーマに、「今年5月3日、読売新聞に掲載された安倍晋三氏の単独インタビューで、彼が考える明文改憲の構想がかなり明らかになった。日本会議等の改憲勢力は日本国憲法の原理に反するような主張をしている団体が主催するイベントで、改正の構想をアピールとして出すこと自体、本来首相は憲法尊重擁護義務があるのに問題と思っていないところが問題点。憲法改正施行年を2020年と、先に日程を示した点。後に日程ありきではないと修正しているが、心の内ではどう思っているか。絶対的に改憲するというのが自民党内に当然あるが、安倍首相自身の中に明確な明文改憲をしたい、明確にターゲットがある。優先4項目としているが、4項目以外にも当然「ある」ということに注意が必要。改憲右派からすると第一回目の改憲を成功させることが絶対的な目標。ここは彼らにとっても失敗は許されない。多数項目を掲げると混乱が起きる為、賛同を得やすいものを狙う」と述べた。

講演する室蘭工業大学の清末・准教授

講演する室蘭工業大学の清末・准教授



続いて、[安倍晋三首相による改憲主張]をテーマに、「憲法学者のうち自衛隊を合憲としたのはわずか2割余りにとどまり、7割以上が違憲の疑いを持っていた」ことや、「自衛隊が全力で任務を果たす姿に対し、国民の信頼は今や9割を超えている。教科書には、自衛隊の活躍ぶりが書かれる中、違憲との指摘も必ずといっていいほど書かれている。命をかけて頑張っている自衛隊員の子どもたちが、その教科書で学んでいる現状がある」と述べた。また、「北朝鮮を巡る情勢が緊迫し、安全保障環境が一層厳しくなっている中、『違憲かもしれないけれど、何かあれば命を張ってくれ』というのはあまりにも無責任だ。そこで自衛隊の記述を書き加える」との事になったのだろう、と解説した。

そして、[現実路線の明文改憲構想]をテーマに、「5月3日、突然『自衛隊明記』と出してきたように感じる方もいるかもしれないが、私は参院選直後から危なっかしいと感じていた。彼のブレーンの人達、近くに居る者達は改憲勢力が2/3握ったあたりから明らかに自衛隊明記、現実的な改憲に向け、ある程度の妥協を見せていた。それが5月3日だったのでは」と述べた。また「改憲右派は日本国憲法を押し付け憲法だと言うが、とっくにそういう考えは戦略的にやめている。日本国憲法を認めた上でより改憲しやすい現実路線の方が戦略的に通りやすいと。相当な現実路線で押している。第一回目の明分改憲が成功すれば、第二、第三とやっていきやすい。とにかく一回目を成功させるというのが非常に重要」と述べた。

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更に、「2012年の改憲草案は24条の趣旨を大きく変えるようになっていたが、それは相当批判を受けたためトーンダウンしたので、家族の尊重、保護を追加した形式で言ってくる可能性が高い。環境権は憲法学的には解釈論として通っている話で今更何を言っているという感じ。運動を進めていくにあたり『加憲』が大きな問題なのだと言っていくことが重要。加憲とは公明党が提唱したもの。私は法学部で加憲という言葉は習わなかったが、やたらと加憲という言葉を戦略的に使用してくる」と警鐘を鳴らしだ。そして、「現実路線が狙っているのは、護憲派の一部、新9条論、民進党の一部を上手く取り込んで現実路線に賛成させる形で国民投票を一気に通そうという考えでいると思う。新9条論は安保法制強行採決に反対する人達の中には、安倍政権に無茶苦茶なことをさせないためにもあえて9条の中に自衛隊明記することで、活動範囲を狭めておこうという提案をしている人達。私は新9条論者が出てきた時にマズイな、と感じた。それは、以降必ず仲間に取り込もうという策略を立ててくるだろうと感じたからだ」と解説した。

そして、「改憲右派にも若干温度差があるが、日本政策研究センターが今一番安倍首相に近いシンクタンクであろう。月刊誌『明日への選択』これをよく読むが、味方の主張ばかり聞いていたらダメなので、対立意見を持っている人たちの主張も分析していかねばならない。今年5月、『これがわれらの憲法改正提案だ-護憲派よ、それでも憲法改正に反対か?』が発刊されたが、これを読むと読売新聞に載っていることと全く同じ。一点違うところは、自衛隊明記と緊急事態条項は重なっているが、首相は24条の話をしなかったが、こちらには『24条を触れ』と明確に書かれている」と述べた。

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また、憲法改正を実現する1000万人ネットワークの署名について、「提出先が設定されておらず、国民投票で過半数を取得するためにネットワークづくりの一環として署名を集めている。物凄く組織的に上手くやっている。「美しい日本の憲法をつくる国民の会」はフロント団体だが、日本会議では、地方から中央へ反映させるというような感じだ」と訴えた。さらに「右派はデザインやネットの多様がとても上手い。単純な言葉を使い、うまく人の心に入っていくので侮れない。組織力をうまく使う事と、大量の支持者が居るというよりも、一人ひとりが献身的に活動に参加している感じ」と述べた。

[9条改憲]のテーマについては、「9条改憲は国民によるアレルギーが強く、困難との考えであった。9条は中々触れないだろう。2015年9月19日の安保法制・戦争法の強行採決で事実上憲法9条を形骸化出来ているというような状況もあり、さすがに護憲派も『手を出せないのでは』と思っていた。しかし、現在の発想は、違う」と述べた上で、「自衛隊明記は最もハードルが低い現実的な(第一回目の)改憲項目となった。つまり、9条はアレルギーとか改憲困難なターゲットではなく、自衛隊明記によって最も触りやすい簡単で賛同の得られやすい項目に変わったということ。非常に気を付けねばならない」と警鐘を鳴らした。

[緊急事態条項]のテーマについては、「緊急事態条項導入には、自然災害をどんどん利用している。日本は災害が多く、人命救助の場面は多々あるが、緊急事態条項で憲法を一時的に停止し、基本的人権を否定する形で中央の一部の政治家や官僚に権限を付与してしまうと、被災の現場で何が起こっているか分からなくなり一方的上からの命令になる。実は人命救助に阻害となるのが緊急事態条項である。緊急事態宣言が出た際に、憲法が停止されるが、助かる命も助からない可能性が出てくる」と解説した。

[家族の尊重・保護]のテーマについては、「右派は家族の尊重が必要だと言う。本当に必要か?彼らは世界の常識だと言うが、私ははっきり否定する。自分たちの都合よく世界人権宣言や国際規約を読み解き、抜粋して、家族条項を取り入れるのはトレンドだと言ってみるが、自分たちに不都合、例えば同性婚が世界の常識であることには絶対触れない。少子高齢化を理由にする対策だとも言うが、憲法24条は社会保障に関連はしているが、25条の生存権に役割がある。24条の家族内での個人の尊厳、両性の平等の精神を受け、25条の社会保障を拡充すべきで、24条に家族の保護を入れるというのは成り立たない。家族の保護を入れてしまうことで、社会保障を否定することになるから大変危険だ」と述べた。

講演の結びとして[護憲は現実的平和主義]として、「右派は、護憲派は空想論的平和主義者だと言う。そかし、9条護憲派は、非武装平和主義を規定していると理解しているので、これこそ現実的な平和主義だと言える。私は軍事紛争地に居た経験があるからこそ、リアリティを持って言える。イスラエルの軍事占領下パレスチナのまちに非暴力トレーナーとして行っていた。難民キャンプに居たが、活動を通し、人の命を最も救う策は、非暴力に基づく平和主義だと紛争の現場で学んだ。空想論的平和主義者たちが空想論を展開しているのに、それがどんどん世の中に通用するようになっていっているのが今の状況。戦争や武力行使のリアリティを本当に語らねばならない時代がやってきたと感じる。日本が戦争の出来る国として人殺しに加担していく状況だけは何としても避けたい」と訴え、講演を締めくくった。

飯島・名古屋学院大学教授は「9条に自衛隊が書かれたら、そのための軍事研究が進むことになる」と危惧した

飯島・名古屋学院大学教授は「9条に自衛隊が書かれたら、そのための軍事研究が進むことになる」と危惧した



対談では、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)が登壇し、清末さんと対談を行った。

対談の冒頭、飯島さんは[9条]について、「海自にある護衛艦は、甲板を変えれば空母のような役割も十分果たす。今まで憲法上空母は持てないとしてきたが、持てる可能性が出てきた。学問の領域だと9条があるから軍事研究はNGというのは根付いているが、万が一9条に自衛隊が書かれたら、自衛のための武力行使はOKではないかと市民の意識が変わるだろう。その為の軍事研究が進むことになる。医学が軍事目的に利用されるかもしれない」と危惧した。また「最近右派がよく言うのが、自然災害が起こった時に、選挙が出来なかったらどうするんだと言うが、じゃあ、どんな事態になるの?と、逆に聞いてみたい。東日本大震災、非常に大変だった。衆議院選挙を行った時、出来ないという話になったか?現地は大変だったかもしれないが、他地域では選挙可能だったのでは。日本全国どこも出来ないという話ではないだろう。さも出来ないという言い方をし、衆議院の任期を変える等、そんなことを認めたら、衆院の任期はどんどん伸ばされる。そして独裁状態になるだろう」と述べた。

対談では、飯島さんが[合区]について、「2016年7月の参議院選挙。投票価値だけの話だと、新潟と宮城が一人一票なのに対し、福井が一人3票投票した計算。これではダメでしょう。投票価値は同じにしましょうというのが現行憲法の内容。都道府県代表は状況が更に悪化するだろう。その点の議論はせねばならない。衆議院の小選挙区代表はすでに都道府県代表的な位置づけ。同じようなものを作る必要があるのか?と。ドイツやアメリカのように連邦制国家であれば二院制は当たり前。日本みたいな国が二院制というのは珍しいこと。二院制は、国民から選ばれた議員と、貴族で治めるために作ったのが二院制。どちらかというと反民主的な性格のものが多く、多くの国では一院制が一般的。GHQは一院制を主張していたが、日本の権力者が二院制を主張した。押し付け憲法だという意見が、これを見ても歴史認識として間違っていることが分かる」と解説した。

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[家族]については、「1940年にナチス・ドイツに降伏した、フランスの対独協力のヴィシー政権が、『自由・平等・博愛』の代わりに『労働・家族・祖国』を標語に変えた。独裁政権にとって『家族』は使い勝手がいい。家族を大切にしなさいの延長上で国に尽くせとなる。1950年代、改憲論者にすると9条よりも家族条項を変えたいと言う人がメインだった。2012年の自民党の草案、家族はお互いに助け合わねばならない。これ自体、誰も否定できないと思う。だが、家族を助けるように国を助けなさいとなったり、家族を助けるために戦いなさい、となったらどうか?そういう形で「家族」が使われる。2012年の自民党の草案、家族はお互いに助け合わねばならない、は、医療・福祉・介護は家族で行えと。現実問題、女性がやりなさい、となるだろう。ドイツ憲法の家族条項の違いは、家族保護条項。経済的に自立できない家族というのはいるので、経済的に助けようというのが世界人権宣言。自民党が言う家族条項は、保護しようという観点がない。むしろ権力者の都合良く使うというもの」と述べた。

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清末さんは、対談の結びに、「防衛省が敵基地攻撃能力保有について検討しようと言っている。政府見解的に攻撃能力を持つことは9条の下でも否定していないと歴代言ってきた。実際に保有するということは攻撃型の武器を持つということ。まさしく専守防衛ではなく、戦争を想定し、防衛省は動いていると。自衛隊装備で海上給油を可能にすることは、途中で補給するということで敵地へ再び行って叩きのめすということ。自衛隊明記は単なる加憲ではないよという話。飯島さんが先ほど、軍事研究を9条の下でさせないことが主張出来たと言われたが、日本の動きは大学を含めて軍事化の動きがどんどん出ている。今、本当に緊張の局面にあるので、気を抜かず抵抗していかねば」と力説した。

集会アピールを採択した後、閉会挨拶を行った8.15北海道集会実行委員会共同代表の林炳澤(イム ピョンテク)さんは、「今日印象に残ったこと。日本政策研究センターの存在。首相の背景にこういった人が居て、運動戦略を作っている問題。以前、安倍首相が学生時代教えていた先生の発言で、安倍君は本当に勉強をしない学生だったと。日本の戦後の首相の中で最も愚劣な首相だと私は思っている。この人は突破力を持っていてそれをきっかけとしながら、知性のない首相を神輿に上げ、保守的な状況を作ろうとしている人達がいるんだなと。民主主義体制に置いて良くも悪くも最終責任は私たち民衆。私たちがどのような社会を望むのか、そのためにどんな運動をするのか。決意と運動戦略が必要な時代になってきた。もう一点、緊急事態条項の問題。大日本帝国憲法との関係性。一般的にヒトラー時代の緊急令があるが、ぞっとする。ヒトラー政権は選挙で誕生した。国会議事堂が放火されるという事件をきっかけに、緊急令を作り、政党を禁止し、やがて全権委任法と独裁者になっていった。緊急事態条項の話を聞き最初に頭に浮かんだのがヒトラー。 我々はしっかり情勢を見ながら、運動戦略を作り、臨んでいかねば」と話し、集会を終えた。

 

 

 

 

 

 




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