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第11回憲法問題連続講座(海渡弁護士)を開催しました

掲載日:2017.03.24

戦争をさせない北海道委員会は、3月24日に、札幌市の自治労会館にて、「第11回憲法問題連続講座」を行い、350人が参加した。

安倍政権は、過去3回にわたり国会で廃案となった「共謀罪」について、2020年の東京五輪や「テロ対策」を口実に、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」に変え成立を目論んでいます。政府は、対象を団体一般から「組織的犯罪集団」に限定する、また「重大な犯罪」の実行に向けた「準備行為」がなされることが必要とし、「一般の人は対象にならない」としています。しかし、「組織的犯罪集団」の定義があいまいであり、捜査当局によって恣意的に拡大されかねないことや、「個人で預金を引き出す」ことが準備行為にみなされる恐れがあることなど、犯罪を共謀し計画することが罪とされる「共謀罪」の本質は何ら変わるものではありません。成立すると、人権侵害・監視社会につながることは明らかであり、法案成立を阻止する運動の一環として開催。

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主催者挨拶で、戦争をさせない北海道委員会「呼びかけ人」の清末愛砂・室蘭工業大学大学院准教授は、「私は、改悪組織的犯罪処罰法案に非常に強い怒りを感じている。改悪組織的犯罪処罰法が成立したなら、共謀罪の大幅拡大となり、現代の治安維持法が誕生することになる。安倍自公政権は、国連国際組織犯罪禁止条約の批准に必要。五輪等開催の為にテロ対策等が必要で組織的犯罪処罰法の修正が必要だと主張してきた。しかし、国連国際組織犯罪禁止条約の批准にはテロ等準備罪は必要ない。9.11以降、世界各地で「対テロ」の掛け声で武力行使を含む様々な人権侵害が行われてきた。改悪組織的犯罪処罰法が成立すると、日本は今以上に監視強化や、恣意的身体拘束等行われる等になりかねない。問題点を学び、各人が共謀罪の拡大立法を阻止するための活動をし、大きな反対運動をつくることが必要。現在の国会情勢を考えると、非常に厳しい闘いだが、何も言わずにいたら、自分たちの首を絞めることになる。本日参加出来なかった人にも、法案の危険性を広める運動を行なっていこう」と挨拶した。

「何も言わずにいたら、自分たちの首を絞めることになる」と挨拶する清末・准教授

「何も言わずにいたら、自分たちの首を絞めることになる」と挨拶する清末・准教授



「話し合うことが罪になる!テロ等準備罪=共謀罪の制定を許さない」と題した講演で、海渡雄一・弁護士は、「共謀罪は、過去3回廃案に追い込んできた。その法案をほとんどそのままの形、むしろ2006年の与党案より悪くなっているものを出してきて、それが通過するとなると、本当に日本の民主主義の危機」と切り出した。

また「先ず、提案されている犯罪法案、テロ等準備罪なのか共謀罪なのかが重要。テロ等準備罪に反対ですか賛成ですかと聞くと、賛成が多い。共謀罪に賛成ですかと聞くと反対の方が多い。21日、閣議決定がなされた時、朝日新聞に掲載された「おことわり」は、これまでと同様、原則共謀罪の表現を使っていくと。道新さんもそういう立場だと聞いている。しかし逆に、テロ等準備罪という言葉しか使わない報道機関もある。法案の名称を何と呼ぶかということは、かなり重要な点」と解説した。

「の危機」と訴える海渡弁護士の話しに、熱心に耳を傾ける参加者

「日本の民主主義の危機」と訴える海渡弁護士の話しに、熱心に耳を傾ける参加者



「まぎれもなく、この法案は、共謀罪法案。断言しても良い。なぜなら、2003年に出た法案、修正案が2006年に出たが、それと基本的本質が全く変わらないものが出てきて、名前だけ変えている。共謀罪とは我々が付けた名前ではない、政府が付けた名前。人気がないからと名前を変えることを許していいのか?と。そこが凄く重要な点」と続けた。

「元々、何のための立案かというと、2000年国連決議された越境組織犯罪条約の国内法化の為の法案。越境組織犯罪条約とは、マフィア対策の条約。国連はテロ関係条約を沢山作っているが、全部日本は批准済み。よく、パレルモ条約という呼ばれ方をする。パレルモはイタリアのシチリア半島。そこは正にマフィアの本拠地。そこで条約の起草が始まり、締結署名式もその場で行われた。だからパレルモ条約と呼ばれる。最初から最後までマフィアと戦うための道具として用意されたもの。政府は一度も否定したことは無いはず。2003年の段階では1ミリもテロ対策の話はしていなかった。テロと言いだしたのは2006年頃から。共謀罪法案は条約を批准するために必要なんだと最初から言われていたことを先ず確認しておきたい」と、法案の目的について解説した。

続いて、「2003年の法案時は対象犯罪が619。今、4年以上の刑を定める犯罪が676あるそうだが、そのうち400位を除き、277法案にしたと。随分減らしたなという印象かもしれないが、2007年に自民党が作った修正案では140まで減っていた。ある意味、バナナのたたき売り状態。当初、団体の活動として組織となる犯罪行為を実行するための組織によって行われるものと、これによって組織犯罪集団に限定したという説明をしていたが、今回、阻止犯罪集団としての関与ということを法律の条件内に入れている。しかし、団体が何らかの犯罪を合意した時には、その団体を組織犯罪集団と呼ぶことにしましたという規程。これでは全然限定したことにはならない。一種のトートロジー。団体が犯罪したら共謀罪の対象になるだけということ。元々、犯罪の遂行を共謀したとか合意したという言葉を使っていたが、今回の法案は何故か「計画した」と変わっている。今回の法案の正式名称は「テロリズム集団その他組織犯罪集団の準備行為を伴う計画罪」計画罪=共謀罪。刑期は変わらず。犯罪の実行着手前に自首した時に必ず刑は減免されますという。これは密告を奨励するということで批判されている点。何も変わっていないということが、これだけで分かって頂けるのでは」と訴えた。

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また「2005年、小泉さんが首相時代、郵政解散があった。自民党が300議席となった時。秋の国会では審議されず、2006年春に持ち越しとなった。当時、民主党は共謀罪を作ることそのものに反対はしていなかったが、厳格な条件をつけることで乱用を避けようという考え方だった。どうしても法案が通らない状況であった2006年6月2日。自民党は民主党の案を丸のみすると言った。与党が野党案を丸のみしたら、合意成立となりそうだが、そうはならなかった。強行成立も辞さないという環境になったが、水面下で止めようとしていた人がいた。それが当時の首相、小泉さんと、衆議院議長の河野洋平さん。この法律は日本の将来にとって難有りと。そして止めたと言われている」と、当時の情勢にも触れた。

共謀罪と監視社会というテーマでは、「監視社会は、権力を持つ者が、支配されている者の動向を監視する社会。これをアナログで一番表しているのが刑務所。しかし、今や、デジタルを通じ世界中の市民を監視する社会が可能となった。先だっての参院選で、大分の野党統一候補の選挙拠点に警察がカメラを仕掛けた。これは自民党に対してはやらない。選挙違反がないか取り締まるためだと言って野党候補だけ狙う。自民党は権力を握っているからやらないと。日本ではイスラム教のモスクに出入りする者も監視されていたが、今の警察は操作方法自身、反省はしない。大分の捜査をしていた人は罰金刑になっている。なぜ罰金を取られたかというと、監視カメラをつけるために、人の敷地に入ったから。監視カメラをつけたこと自体は問題にされていない。これからは、人の敷地に入らないで、その家が見える場所にお金を払って見える位置に家等を借りて、監視カメラをつけるのは合法と警察は考えている」と警鐘を鳴らした。

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最後に、「共謀罪問題に関わって17年経過している。5年前、平岡法相で、私が日弁連事務総長時代にケリをつけておくべきだったと謝罪したい気持ちになるが、こういう状態で、安倍政権が作る共謀罪は、2003年2006年よりも100倍危険。それは安倍政権だから。本気で彼らは、共謀罪を使おうとしている。2003年時は、使いません、条約批准の為と言い、正に伝家の宝刀だったが、今は、法案が出来ていないのに、五輪等テロ対策のために絶対不可欠だと。全然違うものに化けている。秘密保護法、共謀罪、盗聴制度の拡大、戦争法まで出来ていると。この状況は、市民が、政府のやっていることがよく見えなくなる。自分の頭で考えなくなる。政府の政策を合法的な方法で異議申し立てをし、変えていくという民主主義的なプロセスそのものを傷つけてしまう事態になっている。日本の民主主義、基本的人権、市民的自由を守り抜くために、どんなことがあっても阻止しなければならない。頑張っていきましょう」と参加者へ訴えた。

参加者からは、「捜査当局の立場を優越にする法案で、監視社会に日本が進もうとしているというのが分かった。プライバシーの危機だと感じた」との感想があった。




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